東北エネルギー懇談会

お知らせ

「ひろば」513号 発行

2022.07.25|広報誌

特集

歴史から考える日本のエネルギー問題~エネルギー危機と日本~
ユニバーサルエネルギー研究所 金田 武司氏

(本文要約)

・世界はエネルギー危機に直面している。エネルギー資源のない日本にとって、その調達手段がなくなることは国の存続に関わる深刻な事態に陥る可能性があると、歴史は教えてくれる。今回は、今世界で起きていることを日本の歴史と照らし、あらためて日本の特殊なエネルギー事情と先人たちの取り組みを考える。

 

・欧州発の急激なガス需要増によるガス価格の高騰は、どのように世界に波及していったのか。最大の要因として、欧州各国は電力・ガス市場の自由化と固定的な価格(長期契約)が相容れないものと考え、長期契約を次々と解消したことが挙げられる。ガス、電力の急騰は欧州のエネルギー需給ひっ迫が引き金となり、さらにはロシアのウクライナ侵攻の影響も加わった。エネルギー資源は世界を廻る商材であるため、波及は瞬間的に全世界に及んだ。

 

・ここ数年、日本では毎年冬に電力危機が叫ばれるようになった。今年は夏も「電力需給ひっ迫注意報」など耳慣れない言葉が報道されている。日本はこれまで原子力発電、安価で大量の燃料貯蔵が可能な石炭火力発電、環境にやさしくCO₂排出の少ない天然ガス火力発電をベース電源として電力の安定供給を支えていた。しかしこれらの利用を止め、不安定な再エネに依存するという段階で電力ひっ迫は予想できただろう。

 

・エネルギー資源のない日本は幾度も危機的状況を経験してきた。特に1970年代のオイルショックは、当時エネルギー調達を中東のみに依存していた我が国に大きな経済的ダメージを与えた。これを教訓に日本は石油資源を備蓄し、海外への資源依存を減らし、安定的な電源確保のため原子力を積極的に推進した。また、世界に先駆けて再エネ開発も進めると共に省エネルギー産業を生み出した。

 

・現状、再エネの出力調整には長期貯蔵が不可能なLNG火力発電に頼るほかなく、LNGのみに依存することはリスクが高い。日本は、送電線が接続され各国間で電力を大規模に融通しあえる欧州諸国とは事情が異なる。今、無資源国日本の特殊性を踏まえ、エネルギー政策をまた一から考えるべき時期が来ている。海外への依存を減らし、燃料貯蔵が可能でCO₂削減に効果的な原子力発電の推進を積極的に進めるべきではないか。
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せとふみのereport

「脱炭素へ期待の取り組み」アンモニア発電①~国立研究開発法人 産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所(FREA)~
サイエンスライター 瀬戸 文美氏

・脱炭素の多様な取り組みの中で、ポスト炭素燃料として期待されているアンモニア。今回は、火力発電の燃料として直接アンモニアを活用する「アンモニア発電」の実用化に向け、産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所(FREA)で進めている最先端研究の様子を紹介する。

 

・アンモニアは、常温常圧下では無色透明で独特な刺激臭のある気体だ。空気中に一番多く含まれている窒素と水素で構成されている。他の元素と反応しにくい窒素を含むため水素単体より燃えにくいものの、炭素を含んでおらず、燃焼してもCO₂が発生しない。また、安全な運搬手段も確立されている。

 

・次世代エネルギー候補の中心である水素は、気体や液体として運ぼうとすると手間がかかるため、その水素を輸送・貯蔵する手段「エネルギー・キャリア」として、アンモニアが期待されている。FREAは、水素と窒素を反応させてアンモニアにして輸送・貯蔵し、必要に応じて水素を取り出す方法に注目している。

 

・また、アンモニアはそのままで発電用ガスタービンの燃料としても利用できる。FREAは、天然ガスとアンモニアを混ぜて燃料とする混焼やアンモニアのみを燃料にする専焼に取り組んでいる。ただし、水素や天然ガスと比べて燃えにくく、大気汚染物質である窒素化合物も排出されるため、きれいに燃やすための工夫が必要となる。

 

・FREAでは再エネからつくる水素でアンモニアを合成し、そのアンモニアで発電を行う実証の研究を続けている。実証結果を実際の発電所に導入して実用化につなげることが目標だ。本格的にアンモニアが燃料として導入されれば、これまで以上のアンモニアの生産や、反応効率がよいアンモニア合成のための触媒探しも必要になるだろう。
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放射線のおはなし

宇宙放射線~遠い星からのメッセージ
東北放射線科学センター 理事 石井 慶造氏

エネルギーを学ぶ・伝える・考える

佐渡市立二宮小学校(新潟県佐渡市) 岡﨑 空氏

 

以上

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