東北エネルギー懇談会

お知らせ

「ひろば」523号 発行

2024.03.25|広報誌

特集

東日本大震災から13年 津波災害と防災について
東北大学災害科学国際研究所 今村 文彦

(本文要約)

・令和6年能登半島地震による大災害で始まった2024年。東日本大震災から13年を経て、あらためて当時を振り返り、地震と巨大津波の発生、広域での複合災害の実態、そして課題を整理し、今後の防災対応について紹介する。

 

・東日本大震災の断層活動は南北約500km、東西約200kmと推定され、広域で複雑な断層破壊により海底変動が生じ、大規模な津波が発生した。複雑な海岸線をもつ三陸沿岸では津波の波高増幅がみられた。一方、仙台湾の南側から侵入した津波は浅海域に達して破壊力が増し、波が壁のようになって来襲した。河川を遡上した津波は、それまでの常識では考えられない内陸50kmを超える地点まで到達した。

 

・巨大津波による被害の様相は想像を超えて甚大であり、複雑であった。流れ・波力が増すことによる漂流物発生と被害や地形変化などは、このとき初めて記録された。沿岸中心地域では、海底に堆積した泥や砂などが津波で巻き上げられ泥流となって陸域に流れ込む「黒い津波」も報告された。

 

・当時津波警報システムの第1報は3分後に発表されたが、技術的限界からマグニチュードは7.9と過小評価され、津波波高は実際の1/10程度に過小評価された。その後、警報は速やかに更新されたが、第一波への避難に役立てることは厳しかった。現在では、日本海溝から千島海溝に至る海域に観測装置を設置し、リアルタイムな観測データの取得を開始している。

 

・震災伝承ネットワーク協議会や3.11伝承ロード推進機構が設立され、伝承ロードマップを作成して施設間の連携を図り、学習研修旅行の支援、各種啓発イベント企画、映像アーカイブ事業などを行っている。今後の防災活動のためには東日本大震災での教訓を整理し、伝承することが不可欠であり、震災遺構や伝承施設の果たすべき役割は大きい。
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せとふみのereport プラス

エネルギーミックスを支える現場から―技術者たちの思い―~東北電力株式会社 原町火力発電所~サイエンスライター 瀬戸 文美氏

・原町火力発電所は100万kWのプラント2基を擁し、東北電力の火力発電所において最も単機出力が大きく国内でも屈指の大型石炭火力発電所だ。

 

・カーボンニュートラル推進のため再生可能エネルギーが普及してきた現在、石炭火力発電所は当初のベースロード電源から、出力が天気によって左右される再生可能エネルギーの調整を行うミドル電源としての役割を担うようになってきている。

 

・そのため、原町火力発電所では設備更新による熱効率向上や、通常運転時における熱効率管理の高度化、出力調整幅の拡大など、設備運用性向上に挑戦している。

 

・今回お話を伺った原町火力発電所技術グループの小原柚香さんは、発電所内に多数あるポンプやファンを回す電動機や、配電盤などの電気設備の保守・管理業務を担当しており、定期的な点検や保守工事の計画立案などを行っている。

 

・最近実施した非常用発電設備の工事については、先輩・同僚と上手にコミュニケーションをとりながら、関係者と調整を行い、的確に対応した。「原町火力発電所での自分の業務が、会社を支えているという意識をもって行動できるよう取り組みたい」と小原さんは仕事の目標について語った。
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放射線のおはなし

地震と放射線 東北放射線科学センター 理事 石井 慶造氏

教えて!坪倉先生 気になる“ ほうしゃせん”

内部被ばくは、どうだったの? ―その2― 福島県立医科大学 医学部放射線健康管理学講座 主任教授 坪倉 正治氏

トピックス

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エネルギーを学ぶ・伝える・考える

大仙市立大曲南中学校(秋田県大仙市) 島田 智氏

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