東北エネルギー懇談会

お知らせ

「ひろば」507号 発行

2021.08.02|広報誌

特集1

「2050年温室効果ガスを実質ゼロにする!」のインパクト
NPO法人国際環境経済研究所理事・主席研究員 竹内 純子氏

(本文要約)

・2020年10月、菅総理は「2050年には温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」と表明。
大幅な脱炭素化のセオリーは、「需要の電化×電源の低炭素化」である。

 

・多くの地方公共団体も「ゼロカーボンシティ宣言」を表明しているが、具体的な実現に向けた戦略を描けている地域はほとんどない。地域社会が抱える課題は多様であり、それぞれの地域でのエネルギー戦略も地域ごとに異なる。考慮すべき視点を整理する必要がある。

 

・1つは地域において再生可能エネルギーでどこまで賄えるのか。エネルギーの地産地消がどの程度可能なのか。再生可能エネルギーは地域によって偏在するので、どの程度地域で賄えるのか、賄えない場合どうやって地域外から低炭素エネルギーを購入してくるのかなどの課題が出てくる。

 

・2つめは、家庭の電化はどう進めるのか。新築住宅の電化を法的義務にする国・地域も出始めている。一方で、プロパンガスやガソリンスタンドなど地域のエネルギー業者への影響も考えなければならない。

 

・3つめは、産業の電化はどう進めるのか。たとえば鉄鋼業の町の高炉廃止は多くの従業員と地域経済に深刻な打撃を与える。域内の産業の特色を把握したうえで議論を進めることが必要である。

 

・これらを含め、今後日本はどう稼ぐのか、何で食べていくのか、という議論も必要になってくる。
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特集2

“新型コロナ”と、“脱炭素”から考える、これからのエネルギー情勢のゆくえ
(一財)日本エネルギー経済研究所 研究理事 久谷 一朗氏

・世界的なコロナ禍のなかで、経済、生活、それを支えるエネルギー情勢も大きな影響を受けた。また、さまざまなサプライチェーンにはリスクがあることも露呈した。

 

・今後のエネルギー需要は、気候変動対策としての「脱炭素化」による影響が重要なポイント。使うエネルギーの種類が変わり、電気の需要は横ばいか増える傾向だが、化石燃料の需要は減っていく。

 

・低炭素化に向けて効果が大きいのは、石炭火力から天然ガス火力に転換すること。天然ガスの需要は今後、アジアを中心に増えていく。一方、石油の需要は、自動車の電動化が進み、エネルギー利用も石油からガスや電気に移行していることから、将来ピークアウトすると予想されている。

 

・使うエネルギーをすべて電化し、電気はCO2を出さない方法でつくるのが脱炭素の基本となる。熱エネルギーを使う分野では、新たなエネルギーとして水素やアンモニアが注目されているが、実用化の段階ではなく、コストが課題となっている。

 

・中国は世界1位のエネルギー消費大国であり、中国のエネルギー需給構造が大きく変動すれば、世界にも大きな影響を及ぼすことになる。世界は今、脱炭素社会を目指した覇権を争っており、中国とアメリカの対立は続くとみられる。

 

・今後の日本のエネルギー政策は、あらためてエネルギーの自給自足を目指して3E+Sの基本を見据えていく必要がある。
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放射線のおはなし

身の回りの放射性物質 カリウム40とは?
東北放射線科学センター 理事 石井 慶造氏

エネルギーを学ぶ・伝える・考える

山形県立酒田光陵高等学校(山形県酒田市)

 

以上

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