東北エネルギー懇談会

お知らせ

「ひろば」511号 発行

2022.03.28|広報誌

特集1

海外の脱炭素政策から日本が学ぶべきこと
常葉大学名誉教授 山本 隆三氏

(本文要約)

・日本や米、英などの主要国は、2050年までの脱炭素を宣言した。しかし日本は、少子高齢化や経済の低迷など、他の主要国とは状況が異なる。日本は他国と同様の脱炭素戦略を進めることができるのか、またどのように戦略を進めれば「環境と地域経済の好循環」となるのだろうか。

 

・再エネ主力電源化を行った他国では、CO2は減少しても電気料金の高騰や天候による発電量不足などで停電が発生した。日本でも再エネ導入だけを進めれば同様のことが起こると懸念される。電力の安定供給には原子力の活用など電源の多様化が必要だ。

 

・再エネ導入で地元が得られる恩恵は一時的な雇用が中心。エネルギー・電力供給で地域創生を考えるならば、再エネの導入ではなく、雇用を生む付加価値額が高い産業を地元でつくり出すことが大切だ。

 

・エネルギーの地産地消には水素製造が適している。他国と異なり国土が狭い日本では、安全性に優れ、コストが安いとされる新型の原子炉、小型モジュール炉(SMR)を水素製造に活用することとし、その設置を水素需要地である工業地帯などで検討することが必要になる。日本がその技術を導入すれば、地域に付加価値額の高い輸出も可能な産業と雇用を生み出せる。

 

・地域に雇用が増え、高付加価値をもたらす事業が育てば、少子化も止まる可能性が高い。地元企業は、まず脱炭素に必要な既存原子力発電所の再稼働を進め、エネルギーコストを削減し、エネルギーコストを削減し、新規事業や投資に向けた体力をつけることが重要だ。
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せとふみのereport

「注目の新技術」再エネで水素製造~福島水素エネルギー研究フィールド~
サイエンスライター 瀬戸 文美氏

・NEDOが主体となって2020年から稼働している「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」を訪ね、再エネを利用した水素製造技術について取材した。 この施設では、次世代のエネルギーとして期待されている水素をどのようにつくり、どのような役割を果たそうとしているのか見ていく。

 

・水素は可燃性がある気体で、地球ではほとんどが水(H2O)として存在している。石炭や石油などは炭素(C)を含んでいて、燃やすと二酸化炭素(CO2)が発生するが、水素は炭素を含んでいないので、燃やしても発生するのは水だけという特長がある。

 

・FH2Rでは、太陽光発電による電気を利用し、CO2を排出せずに水素を製造・貯蔵・供給する。発電量が多い日照時には水素の製造量を増やし、発電量が少ない悪天候時などには水素の製造量を減らして電力使用量を抑える。天候などに発電量が左右される再エネと水素製造を組み合わせ、再エネの最大限の活用をはかるのだ。

 

・再エネと水素を組み合わせることで、CO2を排出せずに水素をつくり、安定した電力供給にも貢献できる可能性がある。実用化までには時間がかかるが、実際に水素を製造して社会の中で実験的に利用することで課題を抽出し、技術発展につなげることが重要だ。
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放射線のおはなし

身の回りの放射性物質 空気中を浮遊しているラドン222 とラドン220
東北放射線科学センター 理事 石井 慶造氏

エネルギーを学ぶ・伝える・考える

秋田県立秋田工業高等学校(秋田県秋田市) 今 幸喜智氏

 

以上

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