東北エネルギー懇談会

ひろば521号|特集 <要約版>

グリーン・トランスフォーメーションに適う原子力開発・利用
東京大学名誉教授 山口 彰

・2023 年2月に「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定され、原子力開発・利用についてもロードマップが描かれた。

 

・GX基本方針は、「足元の危機を乗り切るためにも再生可能エネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限利用する」としている。

 

・原子力も再エネも脱炭素に不可欠な選択肢である。安定な脱炭素電源供給体制を確立してGXの目標を達成するという文脈で、GX電源法の原子力利用方針を理解すべきであると思う。

 

・第2回GX実行会議では岸田総理が、「エネルギー政策の遅滞解消は急務であり、原子力発電所の再稼働、安全確保を大前提とした運転期間の延長、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設、再処理・廃炉・最終処分のプロセス加速化」の4つの政治決断が必要であると述べた。

 

・次世代革新炉の技術ロードマップでは、安全性を向上させた革新軽水炉の開発を最優先に取り組み、2030年代に運転を開始することとしている。2040年以降の廃炉のペースを踏まえれば、必要な発電規模を確保するためには毎年1基のペースでの建設が必要である。

・さらに再処理・廃炉・最終処分のプロセス加速化は、将来にわたる脱炭素エネルギーの安定供給、持続的経済社会構築の鍵を握っている。

・資源循環性と放射性廃棄物の低減が可能な高速炉と、閉じた核燃料サイクルの開発・確立に取り組まなければならない。これがGXに適う原子力開発・利用のビジョンであると考える。

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