福島から元気通信
豪雨被害から復活への覚悟
地域の魅力を伝えて只見線のファンを
只見線地域コーディネーター
酒井 治子 さん

只見線地域コーディネーターとして住民や県・自治体・JR東日本と連携し、只見線沿線を元気にする活動に力を入れています。また、地元の特産品の製造・販売などを手掛ける会社で企画立案を担当し、列車に乗り込んでの車内ガイドや観光案内も行っています。
只見町の出身。大学卒業後は地元に戻って就職し、一時は仕事から離れて出産・子育ても。そこから再び働き先を探す中、当時は只見駅内にあった観光協会で一生懸命に働く職員の姿に心が動き、「私もパートでもいいから働いてみたいと思い、まず週2~3日勤務し、結果として職員となり、11年間働きました」。少ない予算でもウェブサイトなどで積極的に情報発信する先輩の仕事ぶりが光っていたといいます。
そうした酒井さんにとって重要な出来事だったのは、2011年の只見線の豪雨被害から様々な検討を経て復旧が決まり、2022年に全線開通を迎えて今に至るまでの動きです。当初、復旧せず廃線する諦めにも似た雰囲気もあったといいます。それにあらがい、怒りにも似た強い感情が、復活への取り組みへと酒井さんを突き動かしました。
そして、実際に復旧が決まった時、「覚悟しなければいけない。開通したけれど只見線には誰も乗っていないというのではいけない」との決意も。迎えた開通の日は「喜びというよりは、今日から始まる」と身が引き締まったと振り返ります。
只見の魅力は、「都市とは明らかに違う空間の広さ」と話します。続けて「それは自由な感じ、自分がそのままでいいという感じ。人間らしくとても魅力的だと思います」。また、長く暮らしてもなお折々の只見の景色の美しさにハッとすることも。地域ならではの郷土料理や保存食など、「自然の流れに逆らわない暮らし」も魅力の一つ。
いつも心掛けているのは、「地域の目線で伝えること」。例えば雪国ならではのごみ収集の方法、地域で異なる田んぼのあぜの草刈りなど。それは只見を観光の視点でPRするだけではなく、只見を気にかけて、ファンとなってもらえるような視点を大切にするものです。
酒井さんが将来を見据えて期待するのは、只見の子どもたちです。最近は「自主的に只見線を応援したい、何かしたいと言ってくる地元の子どもたちが出てきました」。昨年、只見線の子供会議が開催され、そこで得られた柔軟で楽しいアイデアを実現しようと頑張っています。

「只見町只見線にみんなで手をふろう条例」も制定されています
メーデルリーフ
只見町への愛を原点に展開
酒井さんが代表執行役員を務めるメーデルリーフは、只見町を愛する7人で立ち上げた会社。2014年に設立、発芽玄米を手掛ける事業を始め、現在は只見町の様々な特産品を製造・企画・販売。オンラインショップの展開のほか、旬な情報をブログやSNSで発信しています。下の写真はメーデルリーフが手掛けるおすすめの商品です。


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