コラム 献上桃の話
〝皇室〟に選ばれし桃 桑折町産あかつき
唯一無二の最高品質
皇室や宮家へ献上する桃のことを献上桃といいます。その献上桃に長年選ばれているのが福島県産の主力品種「あかつき」。県北部の代表的な産地である桑折町は1994年から県の指定を受け、毎年献上を続けています。
献上桃の選果は、例年7月下旬~8月初めに行われます。昨年は7月26日、収穫された約13万個が桑折共選場に運ばれ、透過式光センサー選別機を使って、糖度や大きさ、色のつき具合を判定。糖度12度以上の桃600個を選出しました。あかつきの最盛期を迎えたこの日、平均糖度は13.5度と非常に良質な出来栄えでした。桃は糖度11度でも十分甘いとされます。
600個の中からさらにJAもも生産部会員やJA役職員が、形状や着色の良さ、熟度、傷の有無などを見極め、180個を献上桃として厳選しました。その後、傷まないようにネットをかぶせ、専用の白い箱に15個ずつ丁寧に詰めて、12箱分が宮内庁に送られました。
「桑折町にとって大変光栄なこと。生産者としても誇りが持てますし、自信になります」。そう話すのは、JAふくしま未来もも生産部会連絡協議会会長の大槻栄之さん。桑折町で40年以上、桃の生産に携わっています。
高い品質を維持できる理由として、JAふくしま未来が、糖度などを判別できる光センサーをいち早く導入したことを挙げ、「品質にばらつきがない桃を出荷することができるため、信頼性が高まりました」。生産者が協力して病害虫対策を検討する体制がしっかりしていたことも大きいと話しています。さらに、盆地特有の気候と水はけのよい土地が栽培に適しており、糖度が高くおいしい桃が育つといいます。
大槻さんによると、残念ながら一昨年は病害、昨年は遅霜の影響で生産量が落ち込んだそうです。一方、今年に関しては「大きな問題はなく、恵まれた年になりそうです」と期待を寄せます。生産者に対し、なりすぎた果実を摘んで間引く「摘果」を徹底し、良質なものを収穫しようと呼びかけています。
恵まれた土地と磨き上げた技術で、最高品質の桃を育てる桑折町の生産者たち。皇室にも献上される福島の桃。ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。
あかつきの実をつけた木