東北エネルギー懇談会

お知らせ

「ひろば」525号 発行

2024.07.25|広報誌

特集

カーボンニュートラルに向けたわが国のエネルギー戦略について
(公財)地球環境産業技術研究機構(RITE) システム研究グループリーダー・主席研究員 秋元 圭吾氏

(本文要約)

・カーボンニュートラル実現に向けた対策、とりわけ産業のカーボンニュートラル実現に向けてはエネルギーの脱炭素化が不可欠である。一次エネルギーは、再エネ、原子力、CO回収貯留(CCS)付きの化石燃料のみで構成することが必要であり、最終エネルギーとしては、電化を促進することが重要な対策となる。

 

・太陽光、風力など変動性再エネは、費用抑制の点からも、またエネルギー安定供給・安全保障の点からも課題が多い。しかし、現状では万能な技術は存在しないため、さまざまな技術を組み合わせ、できる限り安価にカーボンニュートラルを実現していくことが重要である。特に水素や水素系エネルギーは、電力同様、二次エネルギーとしてさまざまな一次エネルギーから製造でき、また多くの利用先があり、実質CO排出ゼロを実現し得る。

 

・日本は水素系エネルギー製造に必要な、再エネ(グリーン水素)やCO貯留(ブルー水素)のポテンシャルが海外に比べ大きくなく、またコストも高いため、大量の利用には海外からの輸入が経済合理的と考えられている。したがって、現状では、水素、アンモニア、e-メタンやe-fuelなどの水素系エネルギーの多くを輸入して利用することが費用対効果が高いと評価されやすい。

 

・2024年5月に成立した「水素社会推進法」では、国が前面に立って低炭素水素などの供給・利用を早期に促進するため、計画認定を受けた事業者に対する支援措置や規制の特例措置を講じるとした。事業者は化石燃料と水素などのエネルギーとの価格差の補填や、水素などの拠点整備などについて、政府からの助成金を受けることができるようになる。

 

・世界はカーボンニュートラル実現と自国の競争力強化に向けて、技術開発や普及に向けて熾烈な競争をしている。政府の補助金をてこにして、水素系エネルギーの開発そして産業への展開を図り、よりよい技術を、より早く、より安価に提供し、カーボンニュートラルに向けての国際的な競争に勝っていかなければならない。
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せとふみのereport プラス

エネルギーミックスを支える現場から―技術者たちの思い―~東北電力株式会社 新潟火力発電所~

・新潟火力発電所は東北電力初の日本海側の大規模火力発電所として、1963年に1号機が運転を開始。その後2〜4号機が次々に運転を開始し、火力発電に求められる役割変化に応じてその姿を変えながら60年の間、発電を続けてきた。

 

・2023年10月、現在唯一稼働している5号系列の5-1号機において、二酸化炭素の排出量を削減するため、事業用のガスコンバインドサイクル発電では国内初の試みとして、燃料である天然ガスに1%の水素を混ぜる「水素混焼試験」が行われた。

 

・新潟火力発電所は、再生可能エネルギー導入拡大にともない、太陽光や風力の出力変動をカバーする調整電源としての役割を担っている。その中で「火力の脱炭素化」に向けた施策の一つである水素混焼試験を実証した意義は大きい。その水素混焼試験の現場担当として、当時コンバインド発電グループ運転員の佐藤那智さんがバルブ操作という重要な役割を果たした。

 

・今回お話を伺った核融合炉材料研究開発部・IFMIF加速器施設開発グループの武石沙綾さんは、この加速器の冷却装置の維持・管理業務という重要な役割を担っている。

 

・日本初の試みに参加できたことは貴重な経験だった。この操作をしたらどうなるか、想定と異なったらどう対応するか、安全のために予知し備えるという日頃の心構えと経験が役に立った。これからも豊富な知識を身につけ、広い目線で「電力」を考え、生み出していけるよう経験を積んでいきたいと語った。
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放射線のおはなし

PET の原理
東北放射線科学センター 理事 石井 慶造氏

教えて!坪倉先生 気になる“ ほうしゃせん”

放射線被ばくで甲状腺がんが増える? ―その2―
福島県立医科大学 医学部放射線健康管理学講座 主任教授 坪倉 正治氏

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福島市立松陵中学校(福島県福島市) 阿部 洋己氏

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