東北エネルギー懇談会

ひろば528号|せとふみのe report <要約版>

エネルギーミックスを支える現場から―技術者たちの思い―
~東北電力 能代火力発電所~
サイエンスライター 瀬戸 文美氏

・東北電力株式会社能代火力発電所は、総出力180万kWを誇り、東北電力販売電力量の約15%相当、115億kWhを発電し、東北地区の重要なエネルギー供給拠点となっている。一方、再生可能エネルギーによる発電の不足分を担う調整電源としての役割も果たしている。低廉な亜瀝青炭を燃料に使えることが特徴で、経済性に優れた発電所である、と能代火力発電所運営企画グループ課長の安達哲也さんは説明する。

 

・最新鋭の3号機は、石炭火力として世界最高水準の熱効率約46%を達成し、二酸化炭素排出量の削減に寄与している。加えて能代火力発電所ではバイオマス燃料を混焼することで、さらなる脱炭素化を進めている。木材を半炭化させたブラックペレットを燃料として用い、既存の発電設備を最大限活用しながら二酸化炭素排出量の削減を両立させることを目指している。2024年11月には、3号機でこれまでの最大となる重量比20%のブラックペレット混焼を達成した。

 

・さらに能代火力発電所では、バイオマス燃料の知見獲得を目的として、バイオマス原料の試験栽培にも本店火力部と連携して取り組んでいる。石炭灰を埋め立てた最終処分場の一部を活用し、ソルガムというイネ科の植物の試験栽培を進め、今年度は約800kgの収穫を達成した。また構内の遊休地を利用し、一年草だけでなく多年草の試験栽培も始めている。

 

・発電所全体の調整・取りまとめを行う運営企画グループの本間綾香さんは、発電所のペーパーレス化などDX推進の業務を担うとともに、バイオマス混焼や試験栽培にも積極的に関わっている。火力発電所の新しい将来を創る一員として仕事をしていることにやりがいを感じて、これからも広い視点を持って成長していきたいと語った。

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