東北エネルギー懇談会

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「ひろば」526号 発行

2024.09.25|広報誌

特集

2024年米大統領選挙 ―ハリス、トランプの環境エネルギー政策の方向性―
笹川平和財団 上席フェロー 渡部 恒雄氏

(本文要約)

・2024年米国大統領選挙の情勢は、いま劇的な展開を見せている。6月28日のテレビ討論会でバイデン大統領は年齢による衰えを全米に認知された。7月13日にペンシルベニア州でトランプ氏の銃撃事件が起きた。
トランプ氏は共和党全国大会の指名受諾演説で、前半はアメリカ団結のメッセージを発したが、後半では事前に準備した原稿から逸脱し、いつもどおりの分断的な演説を行った。
これにより、民主党に逆転の希望を与え、7月21日にバイデン大統領が撤退を表明し、ハリス副大統領を後継に指名した。

 

・日本のエネルギー安全保障を考える上で、米国の次の政権交代は2つの点で重要だ。1つ目は、米国自身のエネルギー生産の方向性、2つ目は中東の地政学および世界の国際秩序への米国の関与姿勢である。この点で、ハリス候補とトランプ候補のどちらが勝利するかによって、米国の方向性は大きく変わると考えられる。

 

・1つ目、今や世界1位の輸出国である米国の液化天然ガスの輸出と生産に関わる政策だ。ハリス氏の環境エネルギー政策は、おそらく環境とエネルギー開発のバランスをとるバイデン路線を継続すると考えられる。一方、トランプ陣営の政策予測としては、地球温暖化対策の国際合意であるパリ協定からの離脱だ。全般的に気候変動対策には後ろ向きで、環境規制を緩和して国内のシェールガスなどの採掘を積極的に進めるだろう。

 

・2つ目、現在の混迷する中東情勢は、わが国のエネルギー安全保障に深刻な影響を与えかねない。中東情勢緊張の背景には、内向き志向の米国の求心力低下がある。同盟国と協調して国際秩序の維持に一定の責任を引き受けることを明確にしているハリス政権と、国際関与に内向きなトランプ政権では、中東の安定に大きな違いが出てくると考えざるを得ない。

 

・我が国のエネルギー安全保障に影響する国際秩序の将来性を考える場合、次期米国政権の方向性は、きわめて重要な岐路となる。日本は、自身の防衛力、外交力、経済力を強靭化し、どちらの政権になっても緊密な同盟関係を維持し、国際秩序の維持に積極的に関与していく方向性が合理的な選択となるはずだ。
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せとふみのereport プラス

エネルギーミックスを支える現場から―技術者たちの思い―~電源開発株式会社 奥只見発電所~

・ダム湖である奥只見湖は、総貯水容量が約6億㎥で国内2番目、発電に使用される有効貯水容量は国内最大の大きさ。このダム湖の水を利用して発電する電源開発奥只見発電所は、一般水力発電所として国内最大となる発電出力56万kWを誇る。

 

・1960年から電力需要に応えてきたが、さらにピーク電力の増大に対応するため、2003年に4号機の増設工事を行い、20万kWの出力増加を行った。いま再生可能エネルギーの重要性が高まる中、水力発電所は純国産エネルギーとして重要な位置を占めており、奥只見発電所はカーボンニュートラル実現に大きく貢献している。

 

・奥只見発電所では、運転開始以来60年以上にわたって使用していた主要設備の定期的なメンテナンスや効率のよい新規設備に更新するリプレースを通じて、電力の安定供給と設備の効率アップに努めているが、奥只見発電所を含む周辺施設の設備管理に従事しているのが、小出電力所水力発電部の安藤純奈さんだ。

 

・安藤さんの担当は土木部門。電気や機械、通信など他の部門の人たちに自分から話しかけ、小さなことでも相談し合える関係を構築し、トラブルを未然に防ぐのが重要。これからもいろいろな現場で勉強を重ねて、知識と経験を兼ね備えたエキスパートになっていきたいと語った。
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教えて!坪倉先生 気になる“ ほうしゃせん”

原子力災害とその対策について ―その1―
福島県立医科大学 医学部放射線健康管理学講座 主任教授 坪倉 正治氏

エネルギーを学ぶ・伝える・考える

盛岡中央高等学校附属中学校(岩手県盛岡市) 高橋 蓮氏

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