東北エネルギー懇談会

お知らせ

「ひろば」527号 発行

2024.11.25|広報誌

特集

らくらく節約術でエコフレンドリーな生活
消費生活アドバイザー 丸山 晴美氏

(本文要約)

・いろいろな商品・サービスの値上げラッシュは、新型コロナ禍の中で徐々に始まった。コロナ明け以降もウクライナ戦争や中東紛争、急速な円安により、原材料費やエネルギー価格が高騰し、物流費や人件費も上がった。しかし、こうした厳しい時代の中でも日々のやりくり術などを通して効果的な節約生活をおくり、この時代を乗り切るためのエコにもつながる生活について考えてみたい。

 

・まず、これまでの電気料金の推移を振り返ると、東日本大震災が一つのターニングポイントだった。国内全原子力発電所の稼働停止により火力発電への依存度が高まり、化石燃料の価格上昇もあって電気料金の値上げが続いた。2012年FIT制度が導入され、再エネ賦課金を徴収。2019年10月消費税率10%に引き上げ。2021年1月には市場連動型の電気料金が日本卸電力取引所での卸電力価格の高騰により、通常の10倍に跳ね上がった。2022年ロシアのウクライナ侵攻により天然ガス価格が高騰し、さらに円安相場もあり電気料金の値上げ傾向が続くこととなった。

 

・2024年4月からは「容量拠出金制度」が新設され、小売電気事業者などが容量市場における対価を支払うこととなったが、一部の新電力では「容量拠出金反映額」として電気料金に加算しており、該当する消費者はますます負担感が増した。政府はエネルギー価格の「激変緩和措置」として2023年1月から2024年5月使用分までと、「酷暑乗り切り緊急支援」として2024年8月から10月使用分まで3カ月間の補助を行ったが、それ以降は再び負担が重くなる見込みだ。

 

・節電など節約の取り組みで大切なのは、上手に使って賢く節電すること。資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」では、暖房費を節約しつつ快適に過ごす室内設定温度は「20℃」が目安で、暖房は必要な時だけつけるなど、効果的な節約方法が示されている。古い家電から最新の家電に買い替えることでも節電効果が期待できる。環境省「しんきゅうさん」ではどれくらい節電効果があるかシミュレーションできる。製品に表示されている「統一省エネラベル」もチェックしてほしい。

 

・「エネルギー白書2024」では、燃料価格の高騰と円安で、化石燃料の輸入金額が2年間で22.4兆円増加と報告されている。日本が晒される価格高騰リスクなどの根本解決には、エネルギー危機に強い需給構造への転換、つまり、国内自給率を上げることが今後の電力の安定供給と電気料金安定化のカギとなる。再エネ・火力・原子力など各電源のメリットを生かしバランスのとれたエネルギーのベストミックスを実現していくことが大切だ。生活面では、今は環境に関する補助金や税制優遇制度が数多くあるので上手に活用していきたい。
<全文PDFはこちら>

せとふみのereport プラス

エネルギーミックスを支える現場から―技術者たちの思い―~3GeV高輝度放射光施設NanoTerasu(ナノテラス)~

・3GeV高輝度放射光施設「NanoTerasu(ナノテラス)」は、太陽光の約10億倍も明るい放射光というX線を発生させ、物質にあててその構造や性質を観察できる。日本の技術力を結集してできたもので、軟X線では国内既存施設の約100倍の性能を誇る、と国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(QST)NanoTerasu 総括事務局長 川上伸昭さんは説明する。

 

・例えば、太陽電池やバッテリーの性能向上に寄与する新素材の研究、化石燃料の利用効率向上に寄与する触媒の研究、エネルギー消費を抑える新しい技術や材料の開発に寄与する研究など、エネルギーミックスやカーボンニュートラル実現に直接寄与する研究開発とともに、私たちの生活を大きく変えるような発見につながる可能性も有している。

 

・ナノテラス運用開始にあたり、まず10本のビームラインが整備されたが、うち3本は共用ビームラインとしてQSTが運用し、国内外の研究者が最先端の研究開発を行うために利用される。3本のうち軟X線でのナノ角度分解光電子分光を行うビームラインを担っているのが、QSTナノテラスセンター・高輝度放射光研究開発部ビームライングループの主任研究員 北村未歩さん。放射光施設の新規建設という貴重なチャンスに立ち上げから経験したいと既存施設からナノテラスに移った。2025年にユーザーに使ってもらうため、最先端の性能だけでなく使いやすさや安定性も考えた整備を行いたいと語る。

 

・10本のうち残りの7本は、光科学イノベーションセンター(PhoSIC/地域パートナー代表機関)や宮城県・仙台市や東北大学・東北経済連合会によるコアリションビームラインとして利用される。ナノテラスの放射光を産官学で広く活用するための新しい取り組みを担っているのが、PhoSIC ビームライン部の目黒晴輝さん。ここでは民間企業も課題審査不要で最短2日前の予約で実験を行うことができる。そのサポートを行いながら、放射光の驚異的な能力を多くの人に知ってもらいたい、そのためにもユーザーフレンドリーなビームラインの構築を図っていきたいと語る。
<全文PDFはこちら>

教えて!坪倉先生 気になる“ ほうしゃせん”

原子力災害とその対策について ―その2―
福島県立医科大学 医学部放射線健康管理学講座 主任教授 坪倉 正治氏

トピックス1

Fukuまる ー会津・喜多方エリアー

トピックス2

親子で学ぶ!エネルギー見学バスツアー―体験レポート―

エネルギーを学ぶ・伝える・考える

田上町立田上中学校(新潟県南蒲原郡) 小野 浩氏

以上

ページトップへ