エネルギーセミナー1日目

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 東北エネルギー懇談会では、2回シリーズで会員企業・団体の女性を対象とした「エネルギーセミナー」を企画しました。エネルギー施設見学会や勉強会・テーブルトークなど複数の活動を通して、エネルギーミックスの重要性やエネルギー問題への理解をさらに深めてもらうことが目的で、12人が参加しました。
 1回目は、10月15日に実施された東北電力(株)女川原子力発電所見学。清々しい秋晴れの空の下、参加者たちはバスに乗り込み、午前9時、仙台駅を出発しました。

 最初の目的地となる「女川町まちなか交流館」までは、約1時間半の道のりです。
 まずは、バスの中で、参加者のみなさんから自己紹介をしていただきました。仕事やプライベートで女川と関わりのある方もおられましたが、「原子力発電所を見学する機会はなかったので、楽しみにしていました」など、セミナーに参加する目的や意気込みを語ってくれました。

 また、事前に施設見学のポイントを把握できるよう、「女川原子力発電所の安全性向上に向けた取り組み」や「女川町・石巻市の復興のあゆみ」についてまとめたDVDをご覧いただきました。
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 震災で甚大な被害を受けた女川町は、防潮堤を作らず、町全体を嵩上げする独自の「復興まちづくり」を進めています。午前10時半、女川のまちなか交流館に着いた参加者たちは、語り部ガイドを務める女川町観光協会の阿部真紀子さんから、震災時の状況や復興のあゆみについてお話を伺いました。地元で生まれ育った阿部さんは、スクリーンに震災前後の写真を映し出しながら、時折、参加者に語りかけます。以前は女川原子力発電所を意識することはあまりなかったけれど、震災時に避難所となったことで、身近に感じるようになったことも話して下さいました。
 参加者は力強く進む女川の復興の様子に強い印象を持たれたようでした。

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 お楽しみの昼食は、旬の海鮮丼・海鮮料理を楽しめる女川海の膳「ニューこのり」で「欲張りこのり丼『海鮮』」をいただきました。なんと海鮮丼と穴子天丼の両方を味わうことができます。ふわふわの穴子の天ぷらに新鮮なお刺身で、お腹いっぱいになりました。
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 さて、いよいよ女川原子力発電所に向かいます。まず、「女川原子力PRセンター」でバスを降り、東北電力(株)女川原子力発電所で広報を担当する福地裕明さんから、現在の女川原子力発電所の状況や女川で東京電力福島第一原子力発電所のような事故が発生しなかった理由等について学びました。東日本大震災の時、女川原子力発電所は震度6弱の強い揺れの後、約13メートルの大津波に襲われました。しかし、運転中の1号機と3号機、それに原子炉起動直後だった2号機の全てが安全に停止し、今も安定した状態が保たれています。原子炉を安全に停止させるためには、原子炉を『止める』『冷やす』、放射性物質を『閉じ込める』ことが大切です。東京電力福島第一原子力発電所が、想定を上回る津波によって電源を喪失し、原子炉の冷却機能を失ってしまった一方、女川原子力発電所は、三陸海岸が大津波に襲われてきた歴史を考慮し、建設計画段階から津波対策を重要課題と位置づけていたそうです。敷地高さが海抜14.8メートルと高く設定されていたことや震災前までに機器や配管の補強など1~3号機合計で6600か所の耐震工事を終えていたことが事故を防ぐことに繋がりました。
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 また、PRセンターでは、アテンダントの方から2分の1サイズの原子炉模型や高さ4メートルもある実物大の燃料集合体・制御棒の模型を使って、原子力発電のしくみなどについての説明を受けました。

 また、エネルギーミックスコーナーでは、日本のエネルギー自給率はわずか12%しかないこと、電気を安定して届けるためには、安全の確保を大前提に、原子力、火力、再生可能エネルギーなどをバランスよく組み合わせて発電する「エネルギーミックス」の実現が必要なことなどを学びました。

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 その後、発電所見学用のバスに乗り込み、発電所構内を巡りました。現在、発電所では多種多様な安全性向上対策工事が行われ、様々な工事車両が出入りしています。まず、見学したのは淡水貯水槽の建設現場。重大事故発生時の原子炉の冷却用として,地下に7日間分の水量を確保しています。その量は約1万立方メートル。25メートルプール約20杯分に相当します。地下式のため、その全容を見ることはできませんが、一部、深さが分かる部分があり、参加者はかわるがわる覗いてその深さに驚いていました。

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 続いて向かったのが、防潮堤を一望できる高台です。有事の際に最も大切となるのは「電源」と「冷却用の水」の確保。大容量送水ポンプ車や電源車、発電所の位置を示した図と実際の光景を見比べながら、地震や津波から発電所を守る対策について学びました。現在、発電所では津波の高さを最大23.1メートルと想定し、海抜29メートル、全長約800メートルの防潮堤が建設されています。「現在行っている工法で,技術的に安全が確保できる防潮堤を建設しています」と福地さん。バスで近づくと、「定禅寺通りのけやき並木より長く、高い」防潮堤の迫力に圧倒されました。ユーモアやクイズも交えた話に、参加者たちはメモを取りながら熱心に聞き入っていました。

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 最後はPRセンターに戻って発電所のバーチャルツアーです。コロナ禍の影響等で建屋内に入って見学ができないため、VRゴーグルをつけて建屋内を見学しました。目の前に360°カメラで撮影された映像が広がり、2号機原子炉建屋の中や安全対策工事など臨場感あふれる映像に驚きの声が上がりました。

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 帰りのバスに乗り込み、仙台駅に着く頃には、すっかり暗くなっていました。2回目のエネルギーセミナーは、11月10日に行われ、参加者同士のテーブルトークも行う予定です。実際に目で見て、肌で感じて、エネルギー問題への理解を深めた盛り沢山の1日でした。

参加者の主な感想はコチラ

~施設見学の感想~

  • 女川原子力発電所で行われている二重三重の安全対策工事は圧巻でした。対策工事の内容はこれまで言葉では認識していましたが、今回の見学を通じてより明確に理解することができました。
  • 最も震源に近かったにも関わらず、原子力の被害がなかったのは、常に備えるという皆さんの弛まぬ努力の成果だったのだと初めて知りました。
  • 東京電力福島第一原子力発電所と女川原子力発電所の違いがわからなかったため、見学する前は少し怖い施設の印象がありました。しかし、福島との違いをわかりやすく教えていただき、さらに29mにもなる防潮堤を間近で見学し、女川原子力発電所の安全への取り組みを知ることができとても安心しました。

~エネルギーに対する考え~

  • 一つのエネルギーを選択するのではなく、それぞれの長所を合わせて必要なエネルギーを作り、使用していく事が大切だと思う。限りある資源を有効に、大切に使っていく事が私たちの役割だと思う。
  • エネルギー問題は私たちにとって身近な問題でありながら、当事者意識を持ちにくい分野でもあります。特に原子力は福島第一でのこともあり、否定的なイメージが露呈していますが、各々のエネルギーに対しての理解と日本の電力問題の現状を知る機会を増やした上で、選択していくべきだと思います。
  • 日本がこれほどエネルギー自給率に乏しいと初めて知りました。エネルギー自給率をあげる、環境問題を踏まえて、再生エネルギーや原子力などの理解を深め選択していくことが大切なのではないかと思います。
  • カーボンニュートラル等の単語を耳にすることはあっても普段から自分が使っている電気がどのような方法で発電されているのかを考える機会は少ないため、エネルギーに対して興味を持ち、それぞれの発電方法のメリット・デメリットをきちんと理解した上で、エネルギーを選択するべきであると思いました。